病気の話

「うつ病」の治療

 うつ病は、特別な病気ではありません。
 一生のうち、15人に1人がかかる心の病です。
 きちんと病気を理解することが大切です。

 当然のことですが、まずは、医療機関(主に心療内科や精神科)を受診し、適切な診断を受ける必要があります(昨今、うつ病と呼ばれる中にさまざまな疾病が混在している状況であるため、正確な診断がとても大切なのです)。今回はその中の典型的なうつ病に対する治療に関して説明しましょう。
 治療は大きく分けると3つあります。

  1. 心理療法(精神療法)
  2. 薬物療法
  3. 電気けいれん法

 心理療法には、認知行動療法、認知療法、対人関係療法、行動療法、支持的精神療法、精神分析的精神療法など色々あります。例えば、「認知行動療法」をごく簡単に説明すると、外界の認識の仕方で、本人の感情や気分をコントロールしようとする治療法であり、抑うつの背後にある本人特有の癖のような意識を自ら気付くことで症状の改善を図るものです。この認知行動療法は、日本では行える治療者が限られていて、全国一律にできるものではないのが現実です。その一方で、医療機関を受診し、自分の気持ちを言葉にできたことだけでも、気持ちは楽になったとおっしゃる方も多いのですが、それもこれらの心理療法の効果によるものです。このような心理療法は一般的によく見かけるものです。これらの心理療法は、次に述べる薬物治療と併用しながら行われているのが一般的です。また、主に医師と臨床心理士(または心理士)が行います。
 薬物療法は、主に抑うつを改善させる目的で用いる抗うつ剤と、その周辺症状である不眠や不安を解消する目的で用いる睡眠導入剤や抗不安薬などの2つに大別されます。最近の抗うつ剤は、不眠や食欲不振の改善も同時にできるようになってきているものもあります。一般的に、抗うつ剤は効果が安定してくるまでに、内服開始後早くても1か月はかかると言われていますので、その間、焦らずに待っていただく必要性があります。また、薬物療法には必ずつきまとう現実ですが、副作用があるのも事実です。そのため、抗うつ剤は何種類かありますので、主治医と相談しながら、自分にあった薬剤を選んでいくことも大切です。しかし、その薬剤の効果出現まで待てない場合や、副作用などにより十分量の薬剤が使えなかったり、さらに、十分量の薬剤を使用しても効果が出ない場合は、電気けいれん法が選択されます。当院では修正型電気けいれん法(m-ECT)を行うことができます。またその適応は、向陽台病院では医局会で施行適応の有無を検討した後に施行しています。
 このように治療をしていくのですが、実は今までのような治療を受けるためには、とても大切なことがあります。それは、治療に向き合える環境作りです。本人が通院や入院に関して不要な気遣いをすることなく相談できる家族や職場スタッフの存在が必要になります。さらに、うつ病は再発しやすい疾患であることを知り、現在の症状のみならず、今後の健康に向けて治療を進めていかねばならないということ、すなわち、家庭復帰や職場復帰に関してもある程度のサポートが必要であるということを周囲の人たちに知っていただくことです。こういった長期的な展望の中で、治療は行われていくのです。

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