病気の話

産後うつ病のお話

 「産後うつ病」という病気をご存じでしょうか。
 近頃は、テレビ番組や育児雑誌などで特集も組まれるほどですので、一度は目にしたり耳にしたりしたことがあるのではないかと思います。

産後うつ病とは?

 昔から、妊娠、出産は女性にとって大変喜ばしいことであり、女性には「母性」があるので、育児こそ女性の幸福である、と信じられてきました。しかし現在では、こうした時期にさまざまな精神疾患が出現することが分かっています。中でも、特に起こりやすいのが産後うつ病です。産後1年以内に生じ、日本ではおよそ10%の女性が経験すると言われています。

症状

 主な症状としては、気分が沈む、日常生活のほとんど全てに興味が持てない、喜びを感じない、楽しめない、育児や家事をする気力もない、母親としての喜びや自信もなくなる、自分をひどく責めたり、価値がないように思う、といったものが挙げられます。
 昔から、出産が精神疾患を引き起こすことは知られていましたが、このような母親の状態は「産後の肥立ちが悪い」という言葉で片付けられ、たとえ母親が、産後憂うつを感じたり、育児を負担に感じたりしても、口にすることすら憚られていました。
 産後うつ病は、母親の親としての能力を損なわせます。健全な母親と比べると、赤ちゃんの出すサインを敏感に読み取れなかったり、赤ちゃんのマイナス面ばかり目につき、お母さんと赤ちゃんの情緒的交流がうまくいかなくなります。このことは、赤ちゃんのこころと体の発達に影響を及ぼし、ネグレクトや身体的虐待につながるケースもあります。また、産後の心の変化で、似たような症状が現れるものに、マタニティー・ブルーズがあります。気分がふさぎ、ささいなことで涙が出たり、不安になったり、食欲がないなどの症状があり、日本ではおよそ30%の女性が経験すると言われています。出産直後から産後1週間ごろまでにみられ、産後5日目あたりに多く認められますが、多くは自然に良くなりますので心配はいりません。時には、この気分の変化が激しかったり、長引くこともあり、産後うつ病になる場合もありますので、注意が必要です。

原因

 産後うつ病の原因は単純なものではなく、さまざまな要因が考えられています。産後はホルモンが急激に変化するとともに、妻から母親への役割変化が求められます。夫など周囲のサポート不足、育児と仕事の両立の困難、幼少期の両親との関係や、本人の性格(ものごとの捉え方)なども考えられます。

治療

 うつ病の治療と同じく、心理療法、薬物療法、電気けいれん療法などがあります。ただし、妊娠期間や授乳中のお母さんへの薬物治療は、赤ちゃんへの影響を考えて慎重に行う必要があります。スクリーニングテストとしては、エジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)があります。EPDSは10項目からなり、産後のお母さんの、過去1週間の気分の状態をたずねるものです。EPDSは現在、婦人科健診や乳幼児健診などで配布されることもあり、目にしたことがある方もいらっしゃると思います。EPDSで9点以上を示すお母さんは産後うつ病の可能性があるため、継続的な支援が必要です。場合によっては、精神科での治療も必要になります。

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