病気の話

摂食障害

 摂食障害とは、読んで字のごとく、「食事を摂取することに問題がでる病気」です。
 大きく分類して、「神経性無食欲症(拒食症)」と「神経性大食症(過食症)」に分けられます。

摂食障害とは

 食行動異常と体型の認識の歪み、拒食や月経異常を認める「神経性無食欲症(拒食症)」と、過食・嘔吐・下剤などによる排出行動を繰り返す「神経性大食症(過食症)」に分けられます。
 日本では1950年代から「拒食症」が、1980年代から「過食症」が認められています。もともと欧米で多かった疾患ですが、肥満嫌悪の風潮やダイエットの流行、女性の社会進出などを背景に増加してきました。最近では、拒食症は0.2~1%、過食症は2~3%に発症すると言われ、男女比はl対10で女性がほとんどですが、男性例も認められます。診断基準を満たさないケースを含めると、よくある疾患です。

病因と発生のメカニズム

 病因としては、さまざまな説がありますが、肥満蔑視の風潮、女性の社会進出、社会の飽食化などの文化社会的要因、性格、自立葛藤、認知の歪み、家族関係、偏った養育態度などの心理的要因、視床下部―下垂体系の神経内分泌的異常、脳の形態的機能的変化などの生物学的要因などが複雑に関連し合って発症すると言われています。

症状と合併症

 精神症状として、やせ願望や肥満恐怖、ボディイメージの歪み、病識欠如を認め、二次的に抑うつ、不安、強迫症状、自傷行為、万引き、薬物やアルコールの乱用などの問題行動が生じ、感情障害、不安障害、アルコール・薬物依存、人格障害の合併も少なくありません。さらに、やせ願望に伴う食行動異常として拒食や過食、排出行動としての嘔吐、下剤や利尿剤の乱用などを認めます。
 拒食が目立つと、低体重となり、代謝の低下、低体温、浮腫、脱水、貧血、無月経、甲状腺機能低下、肝膵機能障害、不整脈、骨粗しょう症、産毛の密生、けいれん、無気力、認知障害を引き起こします。また、排出行動が目立つと、電解質異常、唾液腺や膵臓の肥大、食道や胃のびらん、う歯、胃・食道裂孔、けいれんなどを引き起こします。これらのさまざまな身体合併症が生命を脅かすこともあり、さらには病気の持続や慢性化に関係します。

治療と経過

 摂食障害の治療に特効的な治療法はなく、精神療法、行動療法、認知行動療法、自助グループ、身体療法など、患者さんの状態や医師の専門とする療法に応じて適宜選択し組み合わされます。外来通院での治療が基本ではありますが、身体や精神状況が悪化した場合には入院治療を必要とすることもあります。また、低体重に伴う身体合併症が深刻な場合には、集中的な身体的治療を必要とすることもあり、内科での治療を優先することもあります。薬物療法については、摂食障害に対しての根本的な治療薬はなく、抑うつ、不安、不眠などの二次的な症状に対して対症的に行います。
 拒食症はその後、過食症に移行することも多く、過食症は過食で発症し、排出行動を生じて経過するものも多くみられます。いずれも慢性化することも多いのですが、拒食症では10年の経過で7割以上が回復するとされ、部分的に症状を示すことはあっても日常生活に支障のない程度に落ち着くこともよくみられます。ただし、上記の身体的精神的併発障害が予後に影響を及ぼすことも多くみられます。さらに低体重と死の転帰の関連が言われており、死亡率が5~20%との報告もあり、また自殺例も少なくありません。過食症では10年の経過で過半数が完全に回復し、20%が持続、他は部分症状を示すとされており、同様に併発障害が予後に影響を及ぼします。
 まずは、病気について正しく知ることがとても大事です。一人で抱えこまずに、身近な人などに相談してみてください。

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