病気の話

双極性感情障害

 今回は、「鬱(うつ)」と「躁(そう)」状態が繰り返し訪れる「双極性感情障害」のお話です。
 あなたのその気晴らしのお買い物、皆の理解が得られる範囲ですか? それとも...

 「双極性感情障害」という病名は、かつて「躁うつ病」と呼ばれていましたので、その名の方が馴染み深くご存知の方は多いかもしれません。病状は、その病名のとおり、「鬱(うつ)」と「躁(そう)」という双方の感情の極が繰り返し訪れる、と理解していただければと思います。とは言え、人間誰しも程度はあれど鬱になったり躁になったりします。嫌なことがあれば「落ち込み、鬱々と」しますし、何かがんばらないといけないような時は、少し「張り切って」その事態を乗り越えようとする、そんなことが日常茶飯事的に起きています。しかし、それだけでは、病気の範疇には入りません。「病気」と判断されるのは、非常に簡単に言えば、「日常の社会生活が営めなくなった時」と思っていただければ良いかと思います。

 例えば、街のパン屋さんが、朝早くからパンを焼き、夜も遅くまで仕込みを続ける...という日々をほぼ毎日続けているとしたなら、それは恐らくやや軽躁状態にあると判断されます。しかし、それは、「病気」ではありません。自分の目標や生活のために、自分の体力や状況を考慮しながら、なんとか時間を切り盛りし、わずかに空いた時間で短時間の睡眠をとったりするなど工夫して、日常生活に支障がないように対応しているからです。しかし、もしも元気がなくなり、不眠となり、食欲もなくなり、会計も間違えるようになってきたら、これは何か「病気」ではないかと疑わねばなりません。「双極性感情障害」の場合、妙に陽気になって、買わなくてもよいものを買ってきてしまったり、いつもはとても柔和な人が声も大きく怒りっぽくなったり、車の運転がとても荒くなってスピード違反を繰り返すようになったり...という躁状態の症状が、抑うつ状態に加わってきます。

 先ほどのパン屋さんだったら、不要な原材料を過度に購入したり、店舗拡大のために家族に相談もなく大金を使おうとしたり、いつもなら気にかけないような従業員の言動に、過剰に反応して罵倒・叱責をしたりするなどがその一例になります。
 この場合、抑うつ状態に対してではなく躁状態をターゲットにして治療をしていきます。簡単に言うと、うつ病のケースとは全く反対の治療をする訳です。ですから、最初の診断がとても大切になります。
 実は、このような躁状態の症状は、意外とご本人は自覚していないことが多く、その結果、うつ病と判断され抗鬱剤を処方されてしまう場合があります。そうなると、むしろ躁病の症状が悪化してしまって、ご本人がとてもきつい思いをすることがあります。

 そこで、ぜひ皆さんにお願いしたいのは、ご家族の治療への参加と協力です。診察に同席していただき、主治医へ診察室以外のご本人の状態を教えていただき、正確な診断と治療に繋げる手助けをしてほしいと思います。それが、結果的には、ご本人の苦しい時間を短縮することに繋がるからです。

 「双極性感情障害」は、ご家族や身近な方の治療への参加と協力がとても重要な治療のキーワードになる疾患です。ぜひ、診察の場へご一緒にいらしてください。

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